【特集テーマ】森林保水力共同検証

森林保水力の共同検証

 住民討論集会の中で基本高水の数値をめぐる議論で森林の保水力が大きな問題になりました。議論が続く中、「共同で検証してみてはどうか」という県の提案が実現されることになりました。そして双方が選んだ場所で森林の保水力を検証することになりましたが当初から検証そのものに重大な問題がありました。
 住民側が予想していた通り、この検証は挫折しました。国が有利な答えがでるように装置に仕掛けたイカサマが暴露されたからです。これは住民側がそのイカサマの正体をすべてビデオに記録していました。討論会の席でこの事実が暴露されると「このような無駄な検証に税金をつぎ込むことはできない」と自らの責任を第三者が行ったように発言して幕引きをしたのです。実際にイカサマを仕掛けたのは国が依頼していた某有名なコンサルタント会社です。
 さらに驚いたことにこのデータを基に森林の保水力の検証においては国が住民に勝ったと公表したのです。
 こんなことをしなくても、自然は科学者以上の素晴らしい実験を展開してくれています。森林のほんの一部を切り取って自分に都合のよいデータ集めをしてもなんの意味もない科学に程遠いものでしかありません。
 人吉地点の水位を大きく跳ねあげる流域の雨とはどんな雨か、流域の雨量と水位の記録を取り続けていれば時間はかかっても具体的に見えてきます。
 森林の保水力に関わって最も重大な問題は森林がコンクリートダムの代替案として議論をしていることです。日本学術会議もこのレベルに留まっている。
 いずれにしても、この共同検証の成果は二つあったと認識しています。国が示す基本高水の数値検証は不可能のまま、一人歩きをしていますが、(失敗に終わりましたが)共同で見える所で検証する大切さを実現させたことと、森林をコンクリートダムの代替案に位置づけてダム建設を有利にしようとしている愚かな考えが具体的に見えてきたことです。脱基本高水の大きな力となってくれました。

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