計画発表から42年目を迎えた川辺川ダム事業。ダム建設の「目的」だった農業利水、発電の事業者が昨年、相次いで撤退を表明。残るダム建設の「目的」は治水だけとなりましたが、球磨川流域で近年の記録的な豪雨で浸水したのは、改修が完成していない地区ばかりです。
また、球磨川流域で浸水被害にあわれた方々に聞き取り調査した結果を見ても、ダム以外の治水
対策を求められている方が67戸で、治水対策に川辺川ダム建設を望まれる方は、わずか2戸でした。
さらには、最近の世論調査を見ても、川辺川ダム反対が賛成を大きく上回っています。特に熊本日日新聞の調査(3月17日付)では、地元球磨人吉が最も反対が多く、68.5%にも上っています。川辺川ダムに対する民意は明らかです。
そのような中、3月の県知事選挙で当選した蒲島郁夫氏は、川辺川ダムの是非を判断するために「有識者会議」を設置し、9月議会で川辺川ダムに対する態度を明らかにするとしています。また、川辺川ダムに「中立」姿勢の田中信孝・人吉市長も、8月中に態度を明らかにするといいます。
そこで、「川辺川ダムも荒瀬ダムもいらない!」という流域住民の声を人吉市長と県知事に届けるために、8月3日に流域住民大集会を開きます。皆様、人吉カルチャーパレスに是非お集まりください。
08. 3.17 熊本日日新聞の世論調査で、県民の58.4%が川辺川ダム反対。
賛成16.6%。地元の球磨人吉では、ダム反対が68.5%。
3.23 熊本県知事選挙で、蒲島郁夫氏が当選。
4.29 ブックレット「ダムは水害をひきおこす」出版記念集会(相良
体育館200名参加)。
4.30 蒲島郁夫知事が川辺川ダムの是非を判断するために設置した「有
識者会議」のメンバー9氏を発表。
5.15 川辺川ダム有識者会議の第1回会合。「流域住民や水害被災者の
意思を真摯に受け入れること」などを求める要望書を提出。
5.18 球磨川漁協の総代選挙で川辺川ダム反対派、3分の1以上を確保。
5.23 人吉市の川辺川ダム公聴会が終了。ダム反対意見が圧倒的多数。
5.30 川辺川ダム有識者会議の第2回会合。「住民が考えた治水代替案
について住民に説明させること」などを求める要望書を提出。
6. 4 蒲島郁夫知事が、荒瀬ダムの撤去「凍結」を唐突に表明。
6. 5 荒瀬ダムの撤去「凍結」に対し、蒲島知事に抗議文を提出。
6.10 荒瀬ダムの撤去「凍結」に対し、蒲島知事に公開質問状を提出。
6.10 川辺川ダム有識者会議の第3回会合。新たな治水対策に言及。
6.18 相良村議会が「ダムによらない治水に関する意見書」を可決。
19日には横山良継議長ら議員7名が県に同意見書を提出。
6.23 「荒瀬ダム撤去を実現する県民ネットワーク」が県庁近くで集
会(150名参加)。代表者ら30名が蒲島知事に抗議。
6.27 川辺川ダム有識者会議の第4回会合。
川辺川ダム建設予定地のある相良村の村議会は6月18日、蒲島郁夫知事あての「ダムによらない治水に関する意見書」を可決しました。意見書は、9月までに川辺川ダムの是非を判断する意向の知事に、地元議会の意見をくみ取ることも求めています。 意見書は「清流川辺川を未来へ引き渡していくのは村民の責務」と指摘した上で、市民団体が同村などで実施した治水対策の聞き取り調査を引用。「水害被災者のほとんどが堤防のかさ上げやたい積土砂除去、宅地移転などダム以外の治水方法を求めるものだった」と指摘。「議会としてもこの結果は、相良村民の民意を示したものと考えている。ダム建設について判断する際には、村議会の意見もくみ取ってほしい」としています。
田中信孝・人吉市長が川辺川ダム建設の賛否を決めるための判断材料とする公聴会が、5月22日と23日に人吉カルチャーパレスで開かれました。
ダム建設賛成意見を聴いた22日の参加者は延べ54人、発言は7件(賛成意見はわずかに1件)。反対意見を聴いた23日の参加者は延べ209人、発言は48件(うち反対意見は47件)でした。
水害被害者による「市房ダムができて水害がひどくなった。川辺川ダムも不要だ」という意見や「きれいな球磨川があってこそ人吉の観光は成り立つ」「アユがいる球磨川・川辺川を残したい」「農林業を盛んにして森林の保水能力を高めるべきだ」「国も県も財政難。税金で巨大公共事業をする余裕はない」など、ダム建設による水質や環境の悪化を懸念する声が多く出ました。
反対意見が圧倒的多数を占めたことに、田中市長は「人数は関係ない」と強調。発言内容や各種データなどを参考にした上で、8月中旬までにダム計画の是非を判断する方針といいます。
│収入の部 │ 金額 │備考 ││繰越金 │ ▲302,855││年会費・カンパ │ 914,783│グッズの売上、雑収入なども含む││合計 │ 611,928│ │
│支出の部 │ 金額 │備考 ││郵送費 │ 158,545│会報発送、資料発送 ││交通費 │ 196,843│有識者会議傍聴4回分ほか ││事務用品費 │ 32,315│紙代、文具、印刷機修理費など│
│事務所維持費 │ 288,243│家賃、電気、電話など ││その他 │ 53,376│書籍代、会場費など ││合計 │ 729,322│
│(収入)611,928-(支出)729,322=▲117,394
◇東京で行われた有識者会議傍聴の交通費などで、今回も赤字会計です。2008年 分の年会費未納の方は、郵便振替「01970-1-27826」手渡す会宛 にお振込みいただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
蒲島知事は、県営荒瀬ダムの撤去方針を凍結すると、唐突に発表しました。「県財政再建」「温暖化対策」を理由に上げていますが、ちょっと待っていただきたい。
まず、荒瀬ダム撤去は、ダムによる水害被害や河川環境の破壊などを受けてきた流域住民が、求め続けた結果だということです。住民の思いや現在に至る長い経緯を、着任して2ヶ月の知事は認識しているのでしょうか。 荒瀬ダムを撤去すれば、球磨川の河川環境が今より飛躍的によくなることは、荒瀬ダムがゲートを全開したときの球磨川を見ても明らかです。球磨川と八代海の漁業や観光も繁栄し、財政から考えても有形無形で大きな公益を県民にもたらすはずです。それとは反対に荒瀬ダムを継続すれば、今後もダムの維持管理費、ダムにたまった土砂やヘドロの撤去、ダム湖周辺の護岸や道路の補修などが、ダムが存在する限り必要となります。ダムが寿命を迎える日には、当然撤去費用も必要です。
ダムが環境や生態系に甚大な打撃を与えることは、世界的にも常識となっています。広大な森林を水没させ、川の流れを分断し、湖底にヘドロを堆積させるなど、クリーンエネルギーとはとても言えません。知事は表明を撤回すべきです。
昨年5月から、球磨川流域の12市町村など計53会場で開催された、国土交通省の「川づくり報告会」に、約1400名の流域住民が参加しました。私たちも、ほとんどの会場で参加・傍聴したのですが、参加した住民から、川辺川ダム建設を望む意見は全くと言ってよいほど出ませんでした。国土交通省・八代河川国道事務所のホームページに公開された発言記録を見ても、河川改修などすぐにできる治水対策を求める声がほとんどで、全発言数887件のうち「治水のために川辺川ダムが必要」との発言はわずか4件でした。川のそばに住んでいる者が、川の怖さも知っているし、川の恵みも理解しています。その住民の意見を取り入れれば、より効果的な治水対策が安く、そして早く実現できるはずです。国土交通省は、今こそ住民の声に耳を傾けるべきです。(N.O.)