今年、川辺川ダムは計画発表から42年を迎えました。昨年、農水省が「利水」から、電源開発が「発電」から相次いで撤退し、多目的ダム法に基く「川辺川ダム事業」は白紙状態、違法状態にあります。
残るダム建設の「目的」は治水だけとなりましたが、球磨川流域で近年の台風で浸水したのは、改修が完成していない地区ばかりです。
昨年5月から、流域など53会場で行われた国土交通省の「川づくり報告会」でも、河川改修など、すぐにできる治水対策を求める声がほとんどで、住民からダム建設を望む意見は全くと言ってよいほど出ませんでした。
昨年は、流域の政治地図も激変しました。まず、3月にダム推進の旗頭だった福永浩介・人吉市長が収賄容疑で逮捕。4月の統一地方選挙では、人吉市で「ダム建設に中立」の田中信孝氏が当選。錦町、あさぎり町ではダム利水促進だった町長が落選しました。さらには、西村久徳・五木村長が選挙違反で失職。新村長の和田拓也氏は就任会見で、ダム推進の「旗振り役」を務める意思がないことを明言しました。
コンクリートのダムには寿命があります。球磨川下流の荒瀬ダムは、2010年から撤去されます。川辺川ダムを建設したとしても、ダムが寿命を迎える将来、球磨川の治水は一からやり直しです。高さ107mもの巨大なダムや、ダム湖に堆積する膨大な土砂を撤去するには、膨大な費用と新たな環境への負荷がかかります。 今年こそ、国土交通省は民意を反映させ、河道整備や森林の整備などによる、ダムなしの河川整備計画を策定すべきです。
07. 3.23 第11回河川整備基本方針検討小委員会が、川辺川ダム前提の方針案を了承。潮谷義子知事、「了承できない」と反発。
3.24 球磨川漁協の臨時総代会。木下組合長ら理事11人を解任。
4.19 国土交通省の河川分科会は、川辺川ダム前提の河川整備基本方針案を了承。潮谷義子知事、「納得していない」と譲らず。
4.22 人吉市長選挙で、「川辺川ダム建設に中立」の田中信孝氏が当選。錦町、あさぎり町でもダム利水事業促進だった町長が落選。
5. 1 「手渡す会」が田中信孝・人吉市長に対し、川辺川ダム建設促進協議会の会長に就任しないよう求める要望書を提出。
5.14 河川整備基本方針などを報告する国土交通省の「くまがわ・明日の川づくり報告会」が球磨村神瀬からスタート。住民から川辺川ダム建設を望む声はなし。
5.14 人吉球磨の6市町村の首長会議。川辺川利水「国営」軸に協議再開。
5.28 熊本日日新聞の県民意識調査で、川辺川ダム建設「見合わせ」「中止」が59%。ダム建設を求める人はわずか6%。
6.15 電源開発が、川辺川ダム計画の発電から撤退。ダム建設目的から利水に続き発電も外れる。
8.21 国交省の河川水質調査で、川辺川が水質全国1位となる。
8.26 第11回川辺川現地調査。シンポジウムに250名が参加。
9. 6 西村久徳五木村長が失職。選挙違反で連座制適用。
10.21 五木村村長に新人の和田拓也氏が当選。
11.13 相良村で緊急集会「球磨川流域の未来は住民の手で」村内外から260名が参加。
11.21 関係市町村の合意できず、川辺川利水事業休止へ。
12. 6 潮谷義子知事が、次期県知事選挙に出馬しないことを表明。
12.14 相良村の矢上雅義村長が、相良村議会で次期県知事選挙への出馬を正式表明。川辺川ダム計画については「政治決着図る」。
12.17 住民討論集会のコーディネータで活躍した、元熊本県地域振興部長の鎌倉孝幸氏が、次期知事選挙への出馬を正式表明。川辺川ダム計画については「潮谷県政を継承」。
12.20 2008年度政府予算の財務省原案に、国営川辺川土地改良事業(利水事業)費は盛り込まれず。事業の休止が確定。川辺川ダム本体工事費も5年連続盛り込まれず。
3月23日に投票が行われる相良村長選挙に、相良村元収入役の田口道夫さんが出馬表明しました。 一昨年の11月以来、ダム建設予定地である相良村の村長と村議会は、川辺川ダム建設に反対してきました。川辺川ダム建設を完全に中止させ、清流を未来に手渡すためには、再びダム反対の村長を誕生させることが不可欠です。ご協力の程、よろしくお願い致します。
国土交通省の水質ランキングで昨年8月、川辺川が全国一位となりました。しかし、川辺川の河川環境はここ数年で大きく悪化しています。 以前は、大雨のあと1週間もすれば澄みきった流れに戻っていたのが、2005年9月の台風14号以来、川辺川上流部の朴木(ほうのき)砂防ダムなどに堆積した大量の土砂が少しの雨でも溶け出し、川辺川の濁りは長期化するようになりました。 また、以前はきれいな丸石だった河原の多くが「砂浜」に変わっています。川底にも砂がたまっているところが驚くほど増えています。石や礫が砂防ダムでカットされ、土砂しか下流に流れてこなくなったのが原因です。 以前の川辺川に戻すには、本流にある朴木砂防ダムなどの「穴あきダム」を撤去し、山腹崩壊を防ぐためにも間伐をすすめ、山林を保全していくことが不可欠です。そして、川辺川にこれ以上ダムを造ってはなりません。
│収入の部 │ 金額 │備考 │
│繰越金 │ ▲545,682│
│年会費・カンパ │ 1,547,496│グッズの売上、雑収入なども含む│
│合計 │ 1,001,814│ │
│支出の部 │ 金額 │備考 │
│郵送費 │ 254,555│会報発送、資料発送 │
│交通費 │ 369,400│東京行動3回分(小委員会)ほか│
│事務用品費 │ 70,217│紙代、文具、印刷機修理費など│
│事務所維持費 │ 536,762│家賃、電気、電話など │
│その他 │ 73,735│各団体への負担金、会場費ほか│
│合計 │ 1,304,669│
(収入)1,001,814-(支出)1,304,669=▲302,855
◇3回の東京行動などで今回も赤字会計です。「手渡す会」は、皆様方の年会費とご寄付のみで運営しております。2008年分の年会費(一口1000円)払込用紙を同封させていただきました。ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
昨年12月6日の県議会で、残念なことに潮谷義子知事が今春の県知事選挙に出馬しないことを表明しました。
3月6日告示の知事選では、球磨郡相良村長の矢上雅義氏(47)、元県地域振興部長の鎌倉孝幸氏(61)ら5名が出馬表明し、各報道を見ても川辺川ダム問題が最大の争点となっています。
1月22日に「県民の会」など川辺川ダム反対52団体が候補者に送付した川辺川ダム問題に関する公開質問状では、4人がダム建設に反対・中止だと回答しました。5名いずれも保守系の候補者であるのに、ダム建設促進の候補者が一人もいないのは驚きでした。
出馬表明当初からダム建設反対を掲げていた矢上氏は、「県知事として川辺川ダムは不要であるという明確なメッセージを国土交通大臣に伝える」と主張。鎌倉氏は、「住民討論集会を通して、多目的ダムとしての必要性がなくなった」 と主張しています。
一方、蒲島郁夫氏(61)は、「川辺川ダム建設に賛成か反対か」という問いには回答せず、「第三者委員会を設置し、結論を出してもらう」と主張しています。 これは、川辺川ダム建設「見合わせ」「中止」59%、ダム建設「推進」6%(熊本日日新聞2007.5.28)という県民世論を全く無視したもです。地元の意 思を全く無視した河川整備基本計画を検討した小委員会でも明らかのように、これでは地元の混乱を拡大させるだけだと言わざるを得ません。 3月23日の県知事選挙では、川辺川ダム反対・中止の候補者が当選するよう、皆様方のご協力をよろしくお願い致します。
川辺川ダムが、科学技術分野の重大な事故・失敗例を集めた文部科学省の外郭団体「科学技術振興機構」がまとめた『失敗百選』に選ばれました。失敗百選には、チェルノブイリ原発事故、日航ジャンボ機墜落事故なども選ばれています。川辺川ダムの事例は「事業を早く実行しようとして、合意を得る作業を蔑ろにすると住民の反発から、事業の中断あるいは再検討という事態に陥る危険性があり、むしろ多くの時間と費用がかかることになる」とまとめてあります。インターネットが使える人は、「失敗百選」「川辺川」で検索してみてください。◇昨年12月、農水大臣は国営川辺川土地改良事業の休止宣言を出しました。次は、国土交通大臣が川辺川ダム事業計画の廃止宣言を出す番です。清流を未来の子ども達に手渡すために、今年も頑張りましょう!(N.O.)