建設省は、長年地元が反対を続けてきた徳島県木頭村の細川内ダム建設を断念すると発表しました。私達は3年前、人吉カルチャーパレスで『子守唄の里・五木と清流球磨川を守る全国集会』(入場者1000人)を開催しましたが、その時のメインゲストが、村ぐるみで細川内ダム反対を取り組んでおられた木頭村長の藤田恵さんでした。藤田村長がその時、「ダム反対は地方自治を守ること」と力説されていたのが、ついに実現したのです。
また農水省は、熊本県天草の羊角湾干拓事業を断念する方向であることを明らかにしました。木頭村と羊角湾に共通して言える事は、事業の目的がなくなった事が、はっきりと証明されたことです。これまで、ダムや干拓などの巨大公共事業が見直される事は不可能だと言われてきましたが、木頭村と羊角湾の勝利は今後の大きな転機となりそうです。川辺川も続きましょう!
諫早湾の干拓事業は、多くの見直しや疑問の声を残したままギロチン(湾の閉め切り)が落とされました。今、国内の農地はあり余っています。減反で遊んでいる農地だけで16万5千ヘクタールもあるのに、行財政改革が叫ばれる中、膨大な税金をかけて農地を拡大する必要は全くありません。
このたび、諫早のムツゴロウ裁判、奄美のクロウサギ裁判などの「動物の権利訴訟」などで全国で環境保護の先頭に立ってご活躍の弁護士の先生方が、7月19日から人吉で「環境法律家連盟サマーセミナー」を開催されます。その一環として、7月20日にシンポジウムを開催します。
川辺川ダム建設による利水事業は不要として1805人(45%)の対象農民が裁判所に訴えるなど建設目的がなくなり、クマタカなどの環境への致命的なダメージも明らかになっているなど、諫早湾と川辺川に共通する問題点を、時の人・山下弘文さん(諫早湾干潟緊急救済本部・代表)ら豪華ゲストが斬ります。
膨大な税金と農家の負担の上に貴重な自然環境を破壊することは、もうやめにしましょう。川辺川の場合、それは十分可能です。多数のご参加をお願いいたします!(同封のチケットは当日精算でお願いします)
97. 4. 7 「河川法改正をめぐるシンポジウム」で川辺川ダムを報告(東京)
4. 9 ダム本体着工中止を各政党に要請(重松事務局長ら上京)
4.17 「川辺川利水訴訟を支援する会」発足(熊本市)
4.20 相良村村議選挙(ダム反対・見直しの新人2名当選)
4.26 「守ろう川辺川、リバーミーティング97with野田知佑」前夜祭250名参加
4.27 カヌーデモ(くま川下り発船場前)120艇参加
5.21 利水裁判第3回公判、新たに618農家が補助参加(計1805名に)
5.22 県庁と川辺川工事事務所に仮排水路着工中止申し入れ
5.23 バイパス工事安全祈願祭に抗議(相良村・ダムサイト予定地)
5.25 県民の会シンポジウム(熊本市)、源流水リレー
6. 9 矢上代議士が「川辺川ダム事業計画の見直し」を建設省に要請
6.12 五木村水没予定者の95%が村内移転希望と明らかになる
諫早湾などムダな公共事業への風当たりが全国的に高まる中、ダム建設予定地の相良村では4月20日の村議会議員選挙で、ダム反対・見直しの新人2名が当選し、最もダム建設促進の立場をとっていた現職が落選しました。5月21日の利水裁判第3回公判では、新たに618人もの農家が補助参加に加わり、ダム建設の目的のうちの1つは、完全に崩れようとしています。
こうした中、建設省は5月23日にダム本体着工の前提となる仮排水路トンネル工事の安全祈願祭を行いました。これまで代替地の着工式などは、元巨人軍の定岡投手やダークダックス等をゲストに大々的に行われていたのが、今回は「着工式」ではなく、わずか10名程度の「祈願祭」だったことは、建設省もおおっぴらに工事を進められなくなった事の証しとも言えましょう。
平日にも関わらず多数の市民が抗議に駆け付けましたが、たくさんの報道陣が取材し、多くのマスコミが諫早湾と同様、事業強行への疑問をコメントしていました。このトンネル工事が中止となる日が必ず来ます!
6月9日、地元(熊本5区)選出の衆議院議員・矢上雅義氏は建設省に「川辺川ダム事業計画の見直し」を求める要望書を提出しました。その3日後、ダム建設によりこのままでは水没してしまう世帯の95%の方が五木村内に残ることを希望と報道されました。五木村の生活再建とダム計画は、切り離して考えるべきです。
川辺川ダム建設の目的は全て喪失しているにもかかわらず、建設省は今後、川辺川ダムの仮排水路トンネル工事に3年、ダム本体工事に5~7年かかると言っています。しかし、それまでに日本の財政は破綻するほど危機的な状態です。川辺川ダム本体の工事に今後、2000億円以上もの私たちの貴重な税金が投入されるのです。ダムは100年で土砂に埋まり使えなくなります。ダム撤去を始めた国もあるのです。
五木村の財産は、何と言っても川辺川の清流をはじめとする豊かで、子守唄の里の雰囲気を醸し出す頭地地区の自然環境です。それら貴重な財産をダムに水没させることは、次の世代にとっても取り返しのつかない損失となります。ダム予算は、ダム計画により長期間苦難を強いられた五木の生活再建に全て投入すべきです。
収入の部 金額 備考
繰越金 267,562
年会費・カンパ 569,156 グッズの売上、雑収入等も含む
合計 836,718
支出の部 金額 備考
郵送費 96,075 会報発送、資料発送など
紙代 23,292 会報、チラシ、資料など
事務所維持費 168,313 家賃、電気、電話、コピー機など
書籍購入 75,600 国が川を壊す理由50冊
その他 29,989 灯油、環境ネットワーク熊本負担金、のぼり製作
合計 393,269
(収入)836,718-(支出)393,269=443,449円
◇会員拡大にご協力を!
会員の皆様の会費やカンパと市民の皆様の浄財により、「手渡す会」もほぼ黒字会計を保つことができるようになりました。厚く御礼申し上げます。今後、さらに活動を広げていくために、皆様のお近くの方に川辺川の事をお話しいただき、会員を1名増やしていただけないでしょうか。
年会費1000円を「郵便振替01970-1-27826 清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」までお振り込みいただいた方には、年4回程度、会報「かわうそ」をお送りします。よろしくお願い致します。
川辺川ダム建設計画による391ha(甲子園球場260個分)もの広大な水没予定地とその周辺は、クマタカなどの絶滅危惧種も含む2754種もの多様な生物種の生息が確認されている自然の宝庫です。特に、川辺川の水生昆虫の豊かさが出発点となり、他の魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の豊かさを支えています。クマタカはこの生態系の頂点に立つものであり、豊かな生態系(自然環境)のシンボルともいえます。
建設省は、ダムサイト予定地から3km以内のところにクマタカの営巣地があり、周辺に6羽が生息していることを確認しながら、川辺川ダム計画を「公正に見直す」はずの審議委員会に報告していなかったことが昨年8月、大きく報道されました。これに対し昨年10月、人吉市で「クマタカを守る会」が結成され、市民による川辺川ダムサイト予定地付近におけるクマタカの生息調査が開始されました。
今年6月までの20回近い調査で判明したことは、ダムサイト予定地付近の藤田谷周辺に少なくとも4個体以上のクマタカの生息を確認し、ダム本体の骨材採取地として山ごと破壊される計画となっている原石山から少なくとも1km以内のところにクマタカの営巣地が存在する可能性が非常に大きいことを確認しました。川辺川ダム本体工事が開始されると、藤田谷付近のクマタカの生息は不可能となると断言できます。
にもかかわらず建設省は、クマタカに関する情報もほとんど公表しないまま、ダム建設を急ごうとしているのです。川辺川流域は、県内に残された数少ないクマタカが生息できる貴重な自然環境です。次の世代のため、人類のために、この貴重な川辺川を未来に手渡しましょう!(あなたもクマタカを見に行きませんか。月2回ほどクマタカの生息調査を行っています。連絡先0966-23-4530東まで)
ちょっと古い話ですが、昨年の11月、Hさんと2人で諫早で開かれた「九州住民運動合宿交流会」に参加しました。メインテーマは、もちろん諫早湾問題。湾が締め切られる前の干潟は素晴らしかった。ヒチメンソウで一面が真っ赤でした。ところが、取材にきたマスコミはほとんどゼロ。ギロチンが落とされてから、各マスコミも怒濤のように諫早を取り上げていますが、もっと早い時点から問題点を指摘し、警鐘を鳴らすのがジャーナリズムの責務ではないでしょうか。川辺川は、どんなにうまく工事が進んでもギロチンが落とされるまで10年以上かかります。気長に楽しく、私たちの貴重な財産を守っていきましょう。(N.O.)