川辺川ダムについて、「建設予定地」とされた徳田正臣・相良村長、「最大受益地」とされた田中信孝・人吉市長、蒲島郁夫・熊本県知事が相次いでダム反対を表明しました。
「川辺川ダムはいらない」という流域住民の圧倒的な民意を反映した決断を、高く高く評価します。 その後の世論調査でも知事表明を支持する県民は85%にも上り、その姿勢はあらゆる方面から高く評価されています。
福田前首相も、麻生首相も、川辺川ダムについて「地元の意向を優先すべき」「熊本県知事の判断を重く受け止める」と表明しました。また、毎日新聞によると、川辺川ダム建設計画について日本土木工業協会の葉山莞児会長(大成建設会長)は10月2日、「地元がいらないと言うのならば、造ることはない」との考えを示しました。
これまで川辺川ダム計画があったがために、流域の河川改修は大幅に遅れました。連続堤防で河道を固定してしまえば、川底に土砂がたまるのは当然の結果です。たまった土砂を取り除けば、洪水時の水位は確実に下がります。また、ダムによらない治水対策である河道の整備や森林の整備は、地元業者が受注でき、地域振興にもつながります。
しかし、国土交通省は川辺川ダム建設をあきらめていないようです。そこで、京都大学名誉教授の今本博健さんに再度、球磨川流域を現地調査していただき、住民が考える球磨川の治水案について検証する集会を開きます。皆様、是非ご参加ください。
08. 7. 6 蒲島知事が球磨川流域を視察。
7.12 川辺川ダム有識者会議の現地視察。13日には住民と意見交換。
7.27 蒲島知事が八代市と人吉市(29日)で川辺川ダム公聴会を開催。
8. 3 集会「川辺川ダムはいらん!荒瀬ダムを撤去し清流を未来に」
に1350人が参加。(人吉カルチャーパレス大ホール)
8.12 国土交通省の調査で、川辺川の水質が2年連続日本一に。
8.14 川辺川ダム有識者会議の第7回会合。
8.20 国が球磨川の治水目標を下げる方向(20~30年に1度)で検討し
ていることが報道される。
8.22 川辺川ダム有識者会議の最終会合。川辺川ダムの現計画を否定。
「ダムをつくらずに洪水に対応する方法もありえる」と付記。
8.24 第12回川辺川現地調査。シンポジウムに350人が参加。
8.25 国土交通省、蒲島知事へ川辺川「穴あきダム」を初提示。
8.27 蒲島知事、流域市町村から意見聴取。
8.29 ダム建設予定地の徳田正臣・相良村長が川辺川ダム反対表明。
9.2 最大受益地とされた田中信孝・人吉市長が川辺川ダム反対表明。
9.5 蒲島知事、県議会各会派から意見聴取。
9.7 熊本市で「今さらダムはいらない緊急パレード」。300人参加。
9.11 蒲島郁夫・熊本県知事が川辺川ダム反対表明。
9.15 熊本日日新聞の世論調査で、県民の85%が川辺川ダム反対の知
事判断を支持。
10. 9 手渡す会など6団体が「住民が望む自然の営みを重視した球磨川
の治水案」を蒲島知事に提出。
五木村の板木地区にある、九州電力の川辺川第一ダム(通称:板木ダム)が、6月下旬の大雨により決壊しました。板木ダムは、高さ11.5m、堤長71.5m。1937年につくられた発電専用のコンクリート重力式ダムです。
決壊したのはダムの右岸側で、8つの水門のうち2門が完全に崩壊しています。これから老朽化を迎える日本全国の無数のダムの末路を現しているように見えてなりません。
8月3日、「川辺川ダムはいらん!荒瀬ダムを撤去し清流を未来に」と題した
集会を開きました。相良村長、人吉市長、そして蒲島知事に住民の意思を伝えるために、会場の人吉カルチャーパレス大ホールは1350人の参加で満席となりました。
実行委員長の岐部明廣さん(手渡す会副会長)の挨拶のあと、実行委員会スタッフがスライドを使い川辺川ダムと荒瀬ダム問題の現状を説明。その後、水害被害者や漁民など流域住民の代表6名が、「ダムは水害を引き起こす」「ダムを撤去して天然アユを取り戻そう」などと題して意見発表しました。潮谷義子・前知事も荒瀬ダム撤去について「あらゆるシュミレーションの結果」と強調。「環境立県としてダムを撤去し、清流を取り戻すことが大事」と述べました。
川辺川利水訴訟弁護団長の板井優さんは「住民の要求をくみ取らなければ、水俣病と同じくいつまでも対立と混乱をもたらす」と指摘。ガンバロー三唱で感動のうちに集会は終わりました。(写真は人吉新聞より)
収入の部 繰越金 ▲117,394 年会費・カンパ 234,717 合計 117,323
支出の部 郵送費 135,620 交通費 59,000 高速料金、ガソリン代など 事務用品費 28,396 紙代、文具、印刷機インク代など 事務所維持費 299,404 家賃、電気、電話など その他 42,568 会場費など 合計 564,988
(収入)117,323-(支出)564,988=▲447,665◇「手渡す会」は、皆様方の年会費とご寄付のみで運営しております。2009年分の年会費(一口1000円)払込用紙を前倒しで同封させていただきました。この機会にぜひ会員になっていただき、清流を未来に手渡す活動にご協力いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
蒲島知事は6月4日、県営荒瀬ダムの撤去方針を凍結すると唐突に発表しました。荒瀬ダムが建設されて50年以上、ダム湖周辺の住民は悪臭や放水時の振動、そしてダムによる水害被害に悩まされ続けてきました。
ダムができる以前、球磨川河口には、どこまでも歩いていける砂干潟が広がり、その先には広大な藻場がありました。それが、ダム完成後はダムが土砂や栄養分を溜め込むようになりました。本来、海に下るべき栄養分が、ダムにたまるとヘドロと化します。ダムの下流に流れてくるのはヘドロばかりとなり、砂干潟は消滅し、球磨川や八代海の漁獲高も激減しました。
近年、荒瀬ダム撤去に向けて試験的に行われている荒瀬ダムのゲート開放により、球磨川河口の干潟に砂が戻り始め、赤潮の発生も少なくなっています。荒瀬ダムを撤去し、球磨川の清流とアユの群れ、魚や貝が湧き出る八代海を取り戻しましょう。 荒瀬ダムの目的は「発電」だけであり、農業用水などの「水がめ」としての役割はありません。荒瀬ダムの撤去は流域住民の長年の悲願であり、村や県議会でも議決された決定事項です。住民の声を蒲島知事に届けるために、荒瀬ダムのある坂本町で県民大集会を開きます。皆様、是非お集まりください。
1993年に「手渡す会」を設立して15年間、計43号の会報をお送りしてきましたが、今回が一番うれしい便りをお届けすることができました。この間の会員や協力者の皆様方のご協力に深く感謝します。しかし、川辺川ダム問題はこれで終ったわけではなく、解決すべき問題は山積しています。国交省が方向転換するまで、今後も運動を続けていかなければなりません。◇この機会に、これまでの会報「かわうそ」を第1号から順次、ブログにアップしています。15年間の活動を振り返り、今後にいかしたいと思います。http://tewatasukai.blogspot.com/ をご覧ください。当時のさまざまな写真も見ることができます。◇現在、会報発送名簿の整理をしています。記載間違いや住所変更などがありましたなら、振替用紙の通信欄に書かれるか、葉書・FAX等でお知らせください。今後とも手渡す会へのご協力をよろしくお願い致します。(N.O.)